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のど・はな病気一覧

はなの病気

鼻閉(びへい)

空気が鼻を通りにくくなることで感じる鼻づまりを鼻閉といいます。原因は様々で、鼻の骨の構造、アレルギー性鼻炎、鼻腔内の腫瘍やポリープ、手術などで鼻腔が狭くなるために感じる鼻閉感、また外鼻部が狭い場合や軟骨が軟らかい場合、さらに心因的な要因、鼻の奥にあるアデノイド(扁桃腺の腫れ)が大きい幼児の場合、のどちんこが大きい大人の場合などによくみられます。

症状

数時間で左右交代に起こる鼻づまりは、ネーザルサイクルといわれる生理的現象ですが、両側の鼻づまりやいつも同じ側に鼻づまりがあるときは、病的な鼻づまりです。また、鼻づまり感を自覚していなくても、いつも口を開けて口呼吸をしているときは、鼻づまりが原因となっている場合があります。生理的鼻閉やかぜの時の鼻づまりは、自律神経の作用で鼻に血液が多く流れ込んで血管が広がり粘膜が膨張することで、鼻内部の空間が狭くなるために起こりますが、アレルギー性鼻炎の鼻づまりは、鼻の血管拡張と炎症による粘膜のむくみによって起こります。

治療

炎症による鼻づまりには、局所ステロイド点鼻薬と抗ロイコトリエン内服薬が最も有効です。慢性の炎症によって、ポリープ(鼻茸)が発生すると、主に片側の鼻閉の原因になります。構造的、機能的、器質的な鼻づまりに対して最も確実な治療法は、内視鏡を使った手術です。ただし、喘息に合併する副鼻腔炎は、手術しても再発を繰り返します。薬局で売られている点鼻薬は、大量に使うと心臓の血管が収縮し、心筋梗塞を起こすという報告もあり、薬物依存や重大な副作用の原因にもなるので、使用するときは用法・用量を守り、心配な時は医療機関で相談してから使うようにしましょう。

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鼻漏(びろう)

鼻水、 鼻汁のことを鼻漏といいます。鼻漏は、鼻の粘膜から出た分泌液と、鼻の血管からにじみ出た血漿成分の合わさったものです。粘膜からの分泌は、副交感神経という自律神経のはたらきで起こる神経反射ですが、血管からのにじみ出しは、アレルギーの時に出る炎症性の化学伝達物質の作用によるものです。鼻水が増える疾患には、急性鼻咽頭炎(かぜ)、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎などがあります。

症状

鼻水は、正常でも1日1リットル以上分泌されると言われていますが、通常は唾液の一部として飲み込まれています。しかし、加齢や炎症が続くと粘膜からの分泌液が増え、唾液とは違った感覚になり、痰が切れない感じになります。急性鼻咽頭炎は、くしゃみと鼻汁、慢性副鼻腔炎では、膿を含んだ鼻汁が出ます。また、アレルギー性鼻炎も抗原を外に出そうとする反射で鼻汁が出ます。血管運動性鼻炎では、高齢者や女性に多い鼻過敏症ですが、温かい食事を食べた時や片側だけの鼻汁が増加したりします。

治療

蓄膿以外の鼻汁は、神経性の分泌が大半なので、抗ヒスタミン薬や抗コリン作用薬が有効です。ただし、抗コリン作用の強い薬物は、口が渇き、 前立腺肥大症や緑内障を悪くする原因になるので注意が必要です。また、手術で遠心性神経を切断することも有効です。さらに鼻漏で注意が必要なのは、鼻のかみすぎです。鼻を強くかむと圧の逃げ場がなくなり、鼻とつながっている中耳や副鼻腔に細菌を押し込み、中耳炎や副鼻腔炎を起こることがあるので注意しましょう。

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鼻出血

鼻内部からの出血を鼻出血といいます。原因としては、鼻粘膜の血管に原因がある場合、鼻のなかに腫瘍がある場合、首から上の血圧に原因がある場合、血液自体に原因がある場合などに起きます。

症状

鼻には、首や脳の動脈から分かれた血管など、多くの血管が集まっています。最も血管が集まっているのは、鼻中隔(びちゅうかく)の前方のキーゼルバッハといわれる部位で、ここが出血の最も起きやすい部位です。ここからの出血は、アレルギー性鼻炎のかゆみで鼻を強くこすったり、指を鼻に入れる習慣でも起こります。小児のこの部位からの出血は、 白血病やオスラー病などの疾患がなければ病気として扱いません。月経の時にも出血が起きますが、これは代償出血といわれ病気ではありません。片側だけからのあまり多くない出血が続けば、 血管腫や成人の上顎腫瘍などの鼻や上咽頭の腫瘍の可能性もあります。成人で最も多いのは、血圧の上昇によるものです。鼻の上方からの出血は脳血管の枝からの出血のこともあり、脳の血圧を下げて、脳出血を予防する役目もあります。鼻出血を止めるよりも、血圧のコントロールが重要です。

治療

小鼻を強く押さえれば、通常は数分で止血できます。頻繁な出血で生活に支障があれば、電気凝固、レーザー蒸散、粘膜乱切、粘膜除去などを行います。また、ワーファリンやバファリンなどの心筋梗塞や脳梗塞の治療・予防のための薬(抗凝固薬)は血が止まりにくくなるため、鼻出血の原因になります。逆に鼻出血治療のために止血薬を使うのは、梗塞疾患の原因となることがありますので、医師に相談しましょう。成人にみられる上方や後方からの鼻出血は、内視鏡手術で血管をしばったり、クリッピングが必要になる場合もあります。

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嗅覚障害

何らかの原因で、匂いの感じ方に問題が生じることを嗅覚障害といいます。嗅覚機能の低下に加え、軽微な悪臭にも耐えられない嗅覚過敏(広義の化学物質過敏症)、本来良いはずのにおいを悪臭と感じる嗅覚錯誤(異臭症)なども嗅覚障害に含まれます。

症状

嗅覚障害には、匂いを感じにくくなるという機能低下、匂いに強く反応する嗅覚過敏、本来良いにおいを悪臭と感じる嗅覚錯誤などがありますが、障害の大半を占めるのは機能低下で、呼吸性、末梢神経性、中枢神経性の3つに分けられます。
呼吸性の障害は、鼻中隔(びちゅうかく)の湾曲や術後の粘膜癒着などの鼻腔形態異常や、炎症に伴う粘膜の腫れやポリープにより、におい分子が両側鼻腔で嗅上皮(きゅうじょうひ)まで到達できないことにより起こります。末梢神経性は、嗅上皮の萎縮や感冒などウイルス性の炎症が原因の場合と頭を打ったことが最も多い原因です。抗腫瘍薬のテガフールの長期投与でも嗅覚は損なわれることがあります。慢性副鼻腔炎や通年性アレルギー性鼻炎による機能低下は、呼吸性と末梢神経性の混合型です。中枢神経性は、頭部のケガや脳腫瘍、加齢が要因になります。なお、嗅覚障害がアルツハイマー病やパーキンソン病の初期症状の場合もあります。

治療

治療は、重症度と原因によって異なります。慢性副鼻腔炎に伴う嗅覚障害では、内視鏡での鼻内手術が有効です。ステロイド薬の点鼻および経口投与は、ただひとつ確立された嗅覚障害に対する薬物治療です。経口ステロイド薬は、アレルギー性鼻炎に伴う呼吸性および末梢神経性障害に最も有効ですが、副作用に注意が必要です。診断的治療として短期間の投与は行いますが、基本的に長期投与はしません。ステロイド薬の点鼻は、呼吸性・末梢神経性障害を問わず広く行われています。ステロイド薬に先立って血管収縮薬を点鼻しておくと、より効率良く点鼻できます。鼻中隔上方で粘膜下にステロイドデポ製剤(効果が長続きする製剤)を注射する方法も行われています。血清亜鉛が低下している場合には、硫酸亜鉛の内服が有効な場合もあります。中枢性嗅覚障害には、原因疾患の治療しかありません。

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鼻中隔湾曲症

左右の鼻腔を分ける壁の役割を果たす鼻中隔が歪んで左右のどちらかに突出すると、左右の鼻腔の広さが異なるため、鼻のなかでの空気の流れが影響を受け、鼻づまりが生じます。これを鼻中隔湾曲症といいます。鼻中隔は、小児期はほぼまっすぐで、思春期になると鼻中隔を形成する軟骨が急激に発達し、軟骨が歪んだり、骨と軟骨の接合部に変形を起こします。その程度は個人によってさまざまですが、女性よりも男性に多いとされています。

症状

最も代表的な症状は鼻づまり(鼻閉)です。一般に、鼻づまりは鼻腔が狭い側(凸側)に強いのですが、広い側(凹側)でも生じることがあります。これは、凹側の鼻腔にある粘膜におおわれた骨の突起が厚くなり、空気の通りが悪くなるためです。鼻づまりがひどいときは、睡眠呼吸障害を起こすこともあります。また、鼻中隔湾曲症はいびきの原因にもなります。さらに、鼻内の気流の乱れのため、粘膜に炎症を起こせば副鼻腔炎や滲出性中耳炎も引き起こすことがあります。凸側の鼻粘膜は、吸気で常に刺激を受けるために、鼻出血を起こしやすくなります。

治療

鼻中隔の湾曲があるかどうかは、医師が診なければわかりません。長く鼻づまりが続くときは、耳鼻咽喉科を受診しましょう。視診で診断は可能ですが、さらにその湾曲の程度と部位と、合併する副鼻腔炎の有無をチェックするためには、副鼻腔CT検査が有用です。鼻づまりやいびき、睡眠呼吸障害、さらに副鼻腔炎や滲出性中耳炎などの症状がひどい場合は、曲がっている鼻中隔の軟骨と骨を除去する、鼻中隔矯正術を行います。

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急性鼻炎

鼻腔の粘膜に炎症が生じたものを鼻炎といい、なかでも急激な経過をとるものを急性鼻炎といいます。急性鼻炎の多くはいわゆる鼻かぜで、大部分がかぜのウイルスによって引き起こされます。ウイルス感染に合併して細菌感染を生じることもあります。

症状

鼻づまり、 鼻水、くしゃみといった鼻症状があります。鼻水は、初めは水性あるいは粘性ですが、細菌感染を合併すると膿を含んだ膿性の鼻水になります。風邪の一症状なので、のどの痛みやせき、発熱、食欲不振、頭痛などの風邪症状を伴うことがあります。小児ではいびきが大きくなることもあります。花粉症でも似た症状が出ますが、急性鼻炎の場合は鼻粘膜が赤く腫れ、花粉症の場合は鼻粘膜が白っぽく腫れて眼の症状を伴う点が異なります。

治療

風邪の治療と同様、対症療法が中心です。鼻水を抑える抗ヒスタミン薬や鼻をかみやすくするために粘液溶解薬が処方されます。鼻をかめない小児は、鼻水がせきの原因となりがちなので、鼻をよく吸引しましょう。通常は数日間で治りますが、副鼻腔炎を併発すると膿を含んだ鼻水がなかなか治りません。また、とくに小児は急性中耳炎を起こしやすくなります。風邪に伴って鼻水や鼻づまりがなかなか治らない、あるいは、いびきが続くなどの症状がある場合は、副鼻腔炎などの合併を起こしている可能性があるので、一度耳鼻咽喉科を受診したほうがよいでしょう。

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慢性鼻炎

鼻の粘膜が常に赤く腫れている状態を慢性鼻炎といいます。 副鼻腔炎を伴うものは含みません。血管収縮薬で鼻づまりがとれれば慢性単純性鼻炎、血管収縮薬で鼻粘膜の腫れがとれない場合は慢性肥厚性鼻炎と呼びます。ウイルスや細菌感染による急性鼻炎を繰り返した場合、あるいは長引いた場合に起こります。また 鼻中隔湾曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)があれば、鼻の骨が曲がって広くなった鼻腔側の粘膜が腫れて慢性肥厚性鼻炎が起こります。化学物質や物理的な刺激、さらに薬の副作用でも起こります。さらに、市販されている血管収縮薬の点鼻を頻用すると、逆に鼻の粘膜が腫れて厚くなり、点鼻薬性鼻炎という頑固な慢性鼻炎になります。

症状

鼻づまりと 鼻水が主な症状です。鼻づまりは、単純性鼻炎の場合は片側のみ、あるいは左右交代に起こりますが、肥厚性鼻炎の場合は常に両側の鼻づまりが起こります。 鼻水は粘りがあり、鼻がかみきれない場合もあります。また、鼻水がのどに落ちる、すなわち後鼻漏(こうびろう)もよく起きます。

治療

ステロイドスプレーの鼻への定期的な噴霧が有効です。最近は全身への影響が少ないものも多数あり、ある程度長い期間でも使用できます。また、アレルギー性鼻炎を合併している場合は、抗アレルギー薬なども併用します。症状がひどい場合は、手術を行います。粘膜を電気やレーザーで焼いて取り除いたり、アルゴンプラズマで凝固したりして、腫れて厚くなっている粘膜を減らすことで鼻づまりを取ります。

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アスピリン喘息

喘息に加え、鼻づまり、匂いが鈍い、鼻茸などの症状があり、非ステロイド性消炎鎮痛薬をのんだ後に喘息発作が起きる場合をアスピリン喘息といいます。30歳以降に発症することが多く、喘息発作が通年的にあり、重症で常にステロイドを使っている人に多いといわれています。スピリン喘息がある場合は、カレーやミントなどの香辛料、食品中の色素、添加物にも過敏性をもちます。

症状

アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬をのんだ後に、呼吸困難、血圧低下といったアナフィラキシーのような症状とともに、気管支の収縮が起き、死に至るような重い喘息発作を起こします。副鼻腔炎、とくに鼻茸は高い確率で合併しています。鼻水は通常水のようなさらさらした鼻水ですが、感染を合併すると粘りが出てきます。匂いに鈍く、副鼻腔炎があると、病態が悪化しやすくなります。さらに中耳炎を合併することもあります。

治療

治療の中心はステロイド薬です。軽症なら全身的に影響の少ないステロイドスプレーの鼻への噴霧やステロイド液の点鼻など、鼻への直接投与で症状のコントロールがつく場合もありますが、重症のときはステロイド薬の全身投与が必要になることもあります。また、鼻の治療とともに喘息のコントロールが非常に重要です。
外科的手術としては、内視鏡を使って鼻・副鼻腔手術を行い、鼻茸など炎症のある粘膜の除去、鼻腔・副鼻腔の換気ルートを確保します。ただし手術をして病気が根本的に治るわけではないので、手術後も引き続き根気よく治療を続けることが大切です。アスピリン喘息の方はさまざまな薬物に過敏症があるため、手術に際しては慎重な対応が必要です。

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鼻茸

副鼻腔または鼻腔の粘膜から生じ、炎症を起こしながら増殖していくかたまりのことを鼻茸、または鼻ポリープといいます。鼻茸には、さまざまな原因が関係していますが、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、 気管支喘息での合併が多いため、感染とアレルギーが原因として最も有力です。

症状

最も頻度の高い症状が鼻づまりです。鼻づまりが両側にわたってひどい場合は、両側性鼻茸、あるいはポリープが疑われます。次に頻度の高い症状は、嗅覚障害、鼻水、後鼻漏、頭痛です。また、喘息、アレルギー性鼻炎が合併する場合には、それぞれの症状が伴います。鼻づまりがひどく、以前に慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎といわれたことがある方は、鼻茸ができている可能性があるので耳鼻咽喉科を受診しましょう。

治療

気管支喘息などの合併はなく、膿性あるいは粘膿性の鼻水を伴う場合は、感染型副鼻腔炎に伴う鼻茸の可能性が高いため、適した薬を長期に渡って少量内服します。また、アレルギー要素の強いと思われる鼻茸、あるいは喘息に合併する鼻茸に関しては、抗アレルギー薬の内服、ステロイド薬の点鼻を行います。保存療法で効果が得られない場合は、手術療法が選択されます。単に鼻茸を切除しただけでは再発を起こす確率が高いため、内視鏡下で鼻内副鼻腔手術を行って病巣を除去します。
さらに、気管支や肺の病気を合併している場合は、鼻呼吸を可能にすること、あるいは後鼻漏が軽くなることによって呼吸機能の改善が得られます。

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アレルギー性鼻炎

アレルギーを起こす物質と抗体が鼻の粘膜で反応して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを起こす病気をアレルギー性鼻炎といいます。原因になる物質(抗原)にはいろいろな種類があり、主なものとしてはハウスダスト(家のほこり)、ダニ、スギ花粉、イネ科花粉、ブタクサ花粉、真菌(カビ)、ペットとして飼っているイヌやネコの毛があります。これらの抗原は、息を吸うと鼻のなかに入り、鼻の粘膜にある抗体と出合いアレルギー反応を起こします。大気汚染や食生活の変化によりアレルギー性鼻炎は増えています。

症状

家のほこりやダニによるアレルギー性鼻炎は、一年中くしゃみ、鼻水、鼻づまりが続きます(通年性アレルギー性鼻炎)。鼻づまりが強く、くしゃみや鼻水を感じない場合や、くしゃみと鼻水が強く、鼻づまりを感じない場合などがあります。くしゃみは発作性に起こることが多く、一度起こると何度も続けて出ます。ハウスダストのアレルギー性鼻炎の患者さんは、しばしば気管支喘息やアトピー性皮膚炎を併せもっています。
スギ花粉症は、毎年2~4月(スギ花粉が飛ぶ季節)にかけてくしゃみ、鼻水、鼻づまりを起こします(季節性アレルギー性鼻炎)。スギ花粉が飛ばない季節に症状はありません。アレルギー性結膜炎を併せ持ってる人も多く、鼻症状以外に目のかゆみが強く起きます。

治療

紛らわしい病気に風邪があります。アレルギー性鼻炎には鼻のかゆみがあり、また風邪の場合に出る黄色や緑がかった色の鼻汁でなく、水のような鼻みずが出る特徴があります。メガネやマスクなどを用いて、抗原が眼や鼻の中に入らないようにすることが症状を改善する最も有効な予防です。ハウスダストやダニは布団、じゅうたん、畳に多いので、丹念に掃除機などで取り除くことにより、鼻症状はある程度改善されます。家のなかを掃除し清潔にすることが重要です。これらのことを行っても鼻症状があり、生活に支障がある場合には耳鼻咽喉科を受診しましょう。花粉症では、花粉が飛ぶ前から薬を予防的に飲んで、症状が出るのを遅らせ、花粉が飛ぶ時期の症状を軽くする初期療法が勧められています。最近は、原因物質からの抽出物を少量から投与する減感作療法という治療もあります。これは、根治治療に最も近く、治療終了後にも症状の改善が持続します。

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急性副鼻腔炎

副鼻腔とは、頬の奥、眼の内側、眼の上、眼と眼の間などにある空洞の総称で、これらの副鼻腔に急性の炎症が起こることを急性副鼻腔炎といいます。
かぜに引き続いて細菌が感染して発症することが多いのですが、潜水や飛行機に乗って副鼻腔の気圧が急激に変化することにより発症する場合(気圧性副鼻腔炎)や、ケガが原因で発症する場合もあります。

症状

症状は、痛みと鼻みずです。最初にかぜ症状があり、続いて膿みを含んだ悪臭を伴う鼻水がでます。頬部の痛み、眼の内側の痛み、おでこの痛み、頭痛や頭重感など、炎症が起きた副鼻腔によって痛む場所が異なるのが特徴です。
一般に片側にだけ発症し、発熱は軽い微熱が出ます。まれに副鼻腔の炎症が眼や脳に進むことがあり、眼に及ぶとまぶたが腫れたり、視力が落ち、脳に及ぶと強い頭痛や意識障害が起こります。

治療

疲労が溜まっていると急性副鼻腔炎になりやすいので、抵抗力を上げるために睡眠を多く取ることが大切です。よく鼻をかんで鼻の中の膿を減らし、睡眠を多くとって体の抵抗力を上げましょう。鼻みずの量が増えたり、においがひどくなったり、痛みが増すようなら、耳鼻咽喉科を受診し、早く治療することが大切です。そのほか、血管収縮薬で鼻と副鼻腔をつないでいる穴のつまりを軽くして、鼻から抗菌薬の吸入を行うこともあります。

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慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎が治らずに慢性化したものを、一般的に慢性副鼻腔炎といいます。慢性化する理由は、鼻と副鼻腔をつないでいる小さな穴の粘膜が細菌感染によって腫れて閉じてしまい、副鼻腔にたまった膿が外に排泄されにくくなることにあります。たまった膿により、さらに粘膜の腫れがひどくなり鼻茸が発生します。
また、気管支喘息を伴う慢性副鼻腔炎もあります。これはアレルギーと細菌感染が同時に起こることが深く関係していると考えられます。そのほか、アレルギー性鼻炎に慢性の副鼻腔炎を伴う場合があり、アレルギー性副鼻腔炎と呼ばれます。

症状

鼻水が絶えず出てきてよく鼻をかむ、鼻が常につまっていて口で呼吸をしている、いびきをかくなどの症状が続きます。両側に症状が現れることが普通です。そのほか、 鼻水がのどにまわる、匂いがわからない、頭痛などの症状も現れます。気管支喘息を伴う慢性副鼻腔炎の場合は、匂いがわからなくなることがよくあります。また、一般的な慢性副鼻腔炎と比べ、鼻茸が多発性に発生し、鼻水はとても粘りがあり難治性です。
鼻水が3カ月以上持続する場合や、3カ月たたなくても鼻汁のほかに強い鼻づまり感がある場合には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。とくに、成人になってから気管支喘息にかかっていて、匂いがわからなくなったり、鼻水や鼻づまりが現れたら、早めに耳鼻咽喉科の診察を受けましょう。

治療

細菌感染に引き続いて発症する慢性副鼻腔炎には、マクロライド系抗菌薬を少量づつ、長期間服用します。このような治療を数カ月行っても効果がないか、効果が十分ではないときは、内視鏡を使用した鼻内副鼻腔手術が行われます。
一方、気管支喘息を伴った慢性副鼻腔炎は、まず気管支喘息の治療を内科で行って、そのうえで耳鼻咽喉科の治療を受けましょう。最も有効なのは、副腎皮質ステロイド薬の全身投与ですが、副腎皮質ステロイド薬の量が多くなると副作用が心配になります。このような薬物治療を行っても、効果の少ない場合には、内視鏡を使用した鼻内副鼻腔手術が行われます。
慢性副鼻腔炎は、手術後の治療をおろそかにすると再発することがあるので、手術後にも耳鼻咽喉科で診てもらうようにしましょう。

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歯性上顎洞炎

虫歯、歯周炎(歯槽膿漏)からの炎症が、頬の奥にある上顎洞という空洞に入り炎症を起こすことを歯性上顎洞炎といいます。上顎洞は歯と隣り合っているので、虫歯、歯周炎を長い間治療せずに放置していると、細菌が上顎洞に入り炎症を起こします。

症状

急性に起こる場合と慢性に起こる場合があります。急性の場合には、歯の痛みに続いて、突然悪臭の強い膿を含んだ鼻水や頬の痛みが現れます。慢性の場合には、歯の痛みは比較的少ないです。通常片側に起こります。上の歯がむし歯で、むし歯のある側の鼻からうみが出てきたら歯性上顎洞炎の可能性があります。

治療

上顎洞炎の治療とむし歯の治療を、同時に行う必要があります。上顎洞炎に対しては、鼻の入り口近くから針を刺して上顎洞を洗浄し、上顎洞のなかの膿を洗い流し、抗菌薬の投与を行います。同時に歯科で原因となる歯の治療を行います。抜歯後などに虫歯の部位に穴があき、口の中と上顎洞がつながってしまうことがあり、手術で閉鎖しなければならない場合があります。これらの治療によっても改善しない場合は、内視鏡下に上顎洞と鼻腔をつないでいる穴を大きく広げ、たまった膿を除く手術を行います。

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小児副鼻腔炎

小児で副鼻腔に炎症を起こした場合を小児副鼻腔炎といいます。急性の副鼻腔炎は成人と比べてまれで、小児副鼻腔炎のほとんどが慢性です。成人の慢性副鼻腔炎と同様に、副鼻腔の炎症が慢性化したもので、成人に比べて薬の効果が高く、保存的治療で治る場合がほとんどです。また、アレルギー性鼻炎を合併する場合が多くみられます。

症状

鼻づまりと鼻水が起こりやすくなります。成人のように、匂いがわからない、鼻水がのどに回るなどは少なく、アデノイド(扁桃)の肥大やアレルギー性鼻炎が加わり、鼻づまりをさらにひどくさせ、いびきや口呼吸を生じることがよくあります。

治療

鼻づまりや鼻水の良くなる気配がなければ、耳鼻咽喉科を受診し定期的に鼻や副鼻腔にたまった鼻水をきれいに取り除いてもらいましょう。アデノイドの肥大やアレルギー性鼻炎が合併しやすいので、アデノイド肥大の有無やアレルギー検査を同時に行うことも大切です。アレルギー性鼻炎が合併する場合には、アレルギー性鼻炎に対して抗アレルギー薬の投与や抗原特異的免疫療法が行われます。改善がみられない場合には、手術を行いますが、副鼻腔が発育過程にあるため、一般に10歳以下では鼻茸切除のみ行い、10歳以上には内視鏡を用いて鼻内副鼻腔手術が行われます。再発予防のため、手術後も定期的に耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。

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副鼻腔真菌症

真菌(カビ)が原因で副鼻腔に炎症が起こることを副鼻腔真菌症といいます。副鼻腔に真菌が増殖し、真菌のかたまりを作って強い炎症を引き起こします。時に副鼻腔壁の骨の破壊がみられることがあります。頬の奥にある上顎洞に最も起こりやすく、ほとんどが片側に起こります。真菌のなかでもアスペルギルスが最も多く、ムコールやカンジダが原因になることもあります。

症状

糖尿病、悪性腫瘍などがあり、むし歯がないのに左右どちらかの鼻から膿性または粘性の悪臭を伴った鼻みずが出てきたら要注意です。また炎症のある片側に、鼻づまり、痛み、鼻出血も起こします。副鼻腔に限られた炎症にとどまることがほとんどですが、まれに眼や脳のなかに進む場合もあります。その場合、高熱、激しい頭痛、眼球突出、視力障害などを起こします。

治療

糖尿病がある場合には、糖尿病の治療をしっかり行うことで、副鼻腔真菌症にかかりにくくすることができます。真菌症が上顎洞に起こった場合には、上顎洞を洗浄することが有効です。この治療で治らない場合には、手術を行います。内視鏡下に行う鼻内副鼻腔手術で、副鼻腔の真菌塊を取り除き、病的粘膜の清掃を行い、抗真菌薬の投与は一般に行いません。これらの治療で治ることがほとんどですが、まれに骨の破壊に進むことがあり、このような場合には抗真菌薬の全身投与と、鼻の外から切って炎症部分を完全に取り除く必要があります。

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乾酪性上顎洞炎

副鼻腔真菌症のなかで、真菌による感染が頬の奥にある副鼻腔の一つ、上顎洞に起きる場合を乾酪性上顎洞炎といいます。副鼻腔真菌症と同様に、アスペルギルスなどの真菌が原因で、乾酪性物質(チーズのようなもの)が充満する炎症です。

症状

副鼻腔真菌症と同様で、左右どちらかの鼻から膿性または粘性の鼻みずが出てきて、悪臭を伴います。頬の奥の痛み、頬の腫れ、眼の痛み、歯の痛みなどが出る場合もあります。

治療

まず上顎洞の洗浄を行います。これで治る場合もありますが、効果が不十分な場合には手術を行います。一般に内視鏡下に鼻内から副鼻腔の真菌塊を取り除き、病的粘膜の清掃を行うことで治ります。

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副鼻腔嚢胞

副鼻腔の出口が狭くなることにより、そのなかに液が充満し、副鼻腔が拡大して骨壁が排除あるいは破壊されることを副鼻腔嚢胞といいます。 嚢胞の中の液は、粘液状のものから膿状のものまであります。広い意味での副鼻腔嚢胞には、多くの種類の疾患が含まれますが、そのうち副鼻腔粘液嚢胞(ムコツェーレ)と術後性上顎嚢胞が代表的なものです。前者はおでこの真ん中にある前頭洞に多く、後者は圧倒的に頬の奥にある上顎洞に多く発生します。副鼻腔嚢胞全体では、3分の2が手術後、3分の1が原因不明で、術後性上顎嚢胞は、文字どおり手術後に発症することが圧倒的に多く、初回の上顎洞手術の15~20年後に最も多いといわれています。

症状

多くの場合、経過が極めてゆっくりのため、症状を自覚するのはかなり進行してからです。ただし、嚢胞に感染が加わった場合、急速に発症することがあります。症状は嚢胞ができる部位により違いますが、前頭洞に発生したものは、眼の動きが悪くなったり、眉付近が腫れたり、物が二重に見えたりといった症状が現れます。一方、上顎洞に発生したものは、眼の症状のほかに、頬の痛み、腫れが現れます。視力障害を伴う場合は緊急を要するので、早急に受診するようにしましょう。

治療

嚢胞が感染を起こしているときは、抗菌薬を投与します。嚢胞の根本的な治療としては手術をします。現在では、鼻の穴から内視鏡を入れて手術を行う方法が一般的で、特に、篩骨洞、蝶形骨洞の嚢胞ではその適応となります。前頭洞でも内視鏡手術が多くなってきましたが、眉の下縁を切開して行う手術法もあります。上顎洞でも内視鏡手術が主体となりつつありますが、歯肉の上の方を切開する手術法もあります。入院期間は7~10日程度で、手術後の再発率は5~10%といわれています。