のど・はなに良い薬膳レシピ
季節や体調に合わせた、
のどにおすすめの食材を使用した薬膳レシピをご紹介します。
監修:一般社団法人国際発酵食医膳協会 代表理事、「和薬膳療法士・伝統発酵醸師師範」 河合 由記
~「食べる」を見直したら「内側から美しい生き方」が見えてきたを合言葉に食医膳と発酵食を広く伝えている~
河合 由記 先生のサイトURLhttp://fodfex.com/
薬膳とは
薬膳とは、漢方の考え方に基づいて、季節や体調に合わせて食材を選んで作る料理のこと。中国には、食材にも薬と同じようにからだを治す効果があるという「医食同源(いしょくどうげん)」という考えがあります。近代になって、この考え方に基づく料理を「薬膳」と呼ぶようになりました。
薬膳を実践するには、まず食材の持っている性質や味を知ることが大切です。また、薬膳料理は、即効性のある薬とは違うため、同じ食材を1~3日食べつづける必要があります。ただし、食べ過ぎは、逆にからだに毒となるため、自分の体調をみながら食べるようにしましょう。
夏の薬膳
肺の熱を取って潤し、たんやせきを鎮めるミントたっぷりなバナナミルク
黄色や緑色などの膿を含んだたんが出るときは、体内にこもった余分な熱を冷まし、肺を潤すバナナと体を潤す牛乳を合わせて摂りましょう。そこに、のどの痛みや熱をとるミントを加えれば、相乗効果が期待できる上に飲み心地もさわやかです。
材料(2人分)
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- バナナ
- 2本
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- 牛乳
- 300cc
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- ミント
- 10~15枚
- のどにいい食材
- 作り方
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- バナナを2cm大程度に切る。ミントは洗って、よく水気をきる。
- ミキサーに入れて、牛乳、蜂蜜を加えて混ぜる。
- よく混ざったらグラスに注ぐ。
- 調理&摂取ポイント
- ミントは、体を冷やす作用が強いので、冷え症の人は量を少なめにするか、体を温めるものと一緒に食べましょう。また、バナナは血糖を上げやすいため、糖尿病の方は避けたほうがよいでしょう。
余分な水分を外に出してからだの冷えを防ぐ冷製蒸し鶏とハト麦の夏サラダ
梅雨の時期は、空気中の湿度が高く新陳代謝が落ち、汗が出にくくなるため、むくみやすくなります。ハト麦やとうもろこし、スナップエンドウなどの利水効果がある食材を摂って、余分な水分をからだから排出するようにしましょう。ただし、利水効果のある食材はからだを冷やすことがあります。冷えもむくみの要因なので、からだを温める鶏肉と一緒に摂るとよいでしょう。
材料(2人分)
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- ハト麦
- 50g
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- 鶏胸肉
- 100g
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- 塩
- 大さじ1/2
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- 酒
- 大さじ1
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- 長ネギ(青い部分)
- 2、3本
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- 生姜(親指大のスライス)
- 2枚
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- とうもろこし(もしくは缶詰)
- 1/4本
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- スナップエンドウ
- 3~5個
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- ミニトマト
- 5個
【ドレッシング】
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- オリーブオイル
- 大さじ1弱
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- 塩
- 小さじ1/2(好みで調整)
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- レモンのしぼり汁
- 1/3個分
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- 醤油
- 大さじ1/2(好みで調整)
- 梅雨にいい食材
- 作り方
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- ハト麦は、水に濁りがなくなるまでしっかり濯いで、冷蔵庫で一晩水に浸けておく。
- ①を、白米を炊くときと同じように炊く。炊きあがったらボールに出して冷ます。
- 鶏肉に、分量の塩と酒で下味をつける。
- 鍋に鶏肉が浸るくらいの水を入れ、長ネギ、生姜を入れて沸騰させないように鶏肉を茹でる。 約10分茹でたら、鍋に鶏肉を入れたまま冷ます。
- とうもろこしを茹でるもしくは蒸して火を通し、粒の部分をとる。スナップエンドウを塩茹でし、とうもろこしの粒と同じくらいの大きさに切る。トマトも同様にとうもろこしと同じくらいの大きさに切る。
- ②と⑤をボールに入れて混ぜ、分量のオリーブオイル、塩、レモンのしぼり汁、醤油で味付けする。
- ④の鶏肉を薄切りにして、⑥と一緒に盛り付ける。
- 調理&摂取ポイント
- ハト麦は、濯いだ水に濁りがなくなるまでしっかり洗いましょう。水が濁っているうちは、ハト麦特有の匂いが出やすくなります。また、鶏肉を煮るときは、沸騰させてしまうと鶏肉が硬くなってしまうので注意しましょう。さらに、鶏肉が茹で上がった後は、すぐにお湯から出さずにそのまま冷ますと、ふっくらとやわらかい状態を保てます。
余分な熱と水分をとりのぞく夏にぴったりの甘味緑豆の冷たいお汁粉
暑さから水分を摂りすぎてしまう夏は、からだの余分な熱を取り、のどの渇きを抑える緑豆がおすすめです。砂糖の中でもからだを冷やしすぎない黒砂糖やのどの渇きを抑えて肌にもよいといわれるココナッツミルクで味付けをすれば、あっさりとした甘さの夏スイーツの完成です。さらに、ウリ科のメロンやスイカと一緒に食べて、余分な水分を外に出しましょう。
材料(2人分)
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- 緑豆
- 50g
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- 黒砂糖
- 大さじ2~3
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- ナツメエキス
- 大さじ1
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- 塩
- ひと摘み
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- ココナッツミルク
- 大さじ2~3
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- 西瓜・メロンなど
- 適量
- 暑さにいい食材
- 作り方
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- 調理する前日に緑豆を洗い、3倍量の水で浸水しておく。
- ①をザルにとり水をきったら圧力鍋に入れ、豆にかぶる程度の水を入れる。沸騰してきたらアクを取り、圧をかけて煮る。4分ほど中火で煮たら、火を消し自然脱圧するまで待つ。普通の鍋で煮るなら中火で約30分煮る。
- ②の水が少なければ少し足して、分量の黒砂糖、ナツメエキス、ひと摘みの塩を入れて味を整え、最後にココナッツミルクを入れる。黒砂糖はあまり入れすぎないように気をつける。
- 粗熱が取れたら容器に移し、冷蔵庫で冷やす。
- 食べる直前に、スイカやメロンなどを食べやすい大きさに切って④に飾る。
- 調理&摂取ポイント
- 緑豆を普通の鍋で煮るときは、中火で焦げないように気をつけながら煮るようにしましょう。また、緑豆を味付けするときは、黒砂糖やナツメエキス、塩などで味を整えてから、油分を含んだココナッツオイルを入れるようにしましょう。
夏バテで食欲がないときも食べやすいたまご料理トマトとセロリとたまごの炒めもの
夏の疲れが溜まると、からだの気が落ちてだるさを感じ、夏風邪をひきやすくなってしまいます。暑さで食欲がないときこそ、血を補い体力を回復させるたまごがおすすめです。また、からだの熱を冷ますトマトやセロリの独特の香りであるアイピンは夏バテによる食欲不振に効果的です。
材料(2人分)
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- トマト
- 中1個
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- セロリ
- 1本
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- ごま油
- 大さじ1.5
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- たまご
- 1個
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- 塩
- 少々
- のどにいい食材
- 作り方
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- トマトをざく切りにし、セロリは筋を取ってから斜めにスライスする。
- 分量の胡麻油を入れたフライパンに、割りほぐしたたまごを入れ、ざっくり火を通して皿にとる。
- 同じフライパンにセロリを入れてある程度火が通ったら、次にトマトを加えてトマトの形が少し崩れるくらいまで炒める。最後に塩で味を付ける。
- 最後に②をフライパンに戻しさっと合える。
- 調理&摂取ポイント
- たまごを炒めるときは、最初にごま油を多めに入れてふんわり仕上げるのがコツです。トマトやセロリと合わせるときも、たまごがふんわりしているほうがトマトやセロリの食感と相性がよいので、火を入れ過ぎて硬くならないように気をつけましょう。
夏が旬の食材で、のどの痛みを和らげて豆腐とトマトのサラダ きゅうりとセロリのソースがけ
トマト、きゅうり、セロリ、豆腐には、のどにこもる熱を冷まし、体内の水分バランスを整える作用があります。さらに、ピリッとした辛みのある大葉が、体を温めるとともにせきも鎮めます。
材料(2人分)
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- 豆腐(絹)
- 1/2丁
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- トマト
- 大1個
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- 大葉
- 10枚
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- きゅうり
- 1本
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- セロリ(葉のついている方)
- 1/3本
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- レモン汁
- 大さじ1
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- オリーブ油
- 大さじ1と1/2
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- 塩
- 適宜
- のどにいい食材
- 作り方
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- 豆腐は、ペーパータオルでしっかり水気を切ってから2cm角に切る。トマトは皮を湯むきしてから2cm角に切る。
- きゅうりをすりおろし、セロリはみじん切りにして、ボールに入れる。
- ②にレモン汁、オリーブ油、塩を入れてよく混ぜ合わせる。さらに①も加えてよく和え、最後に刻んだ大葉をのせる。
- 調理&摂取ポイント
- 1日中冷房の効いた室内にいて体が冷えている人は、温かい飲み物、食べ物と一緒に摂るよう心がけましょう。シナモン、干ししょうがなど体の芯から温めるものをプラスするとさらによいでしょう。
せきやたん、のどの痛み、のどのすべての症状にびわ入り杏仁豆腐
材料(2人分)
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- 杏仁霜(きょうにんそう)
- 大さじ3
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- びわのシロップ漬け
- 5個
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- ゼラチン
- 5g
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- 牛乳
- 300cc
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- 水
- 100cc
- 作り方
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- 水100cc(分量内)を入れた鍋に杏仁霜を加えてよく溶かす。そこへ、ゼラチンをふり入れてふやかす。
- ①に牛乳を加えて火にかける。沸騰しないように弱火でゼラチンが溶けるまで加熱する。
- ②を火からおろして、粗熱をとる。
- びわのシロップ煮を角切りにしておき、③にとろみがついてきたら混ぜ入れる。
- ⑤を容器に入れて、冷蔵庫で1、2時間冷やし固める。
- 調理&摂取ポイント
- 甘みが欲しいときは、鍋を火からおろしたところで、はちみつを加えましょう。また、びわが手に入る時期なら、フレッシュなびわを使ってもよいでしょう。甘すぎず、自然な甘さが味わえます。ただし、フレッシュなびわは、食べ過ぎるとおなかをこわすことがあるので、多くても1日2個程度にしましょう。