のど・はなに良い薬膳レシピ
季節や体調に合わせた、
のどにおすすめの食材を使用した薬膳レシピをご紹介します。
監修:一般社団法人国際発酵食医膳協会 代表理事、「和薬膳療法士・伝統発酵醸師師範」 河合 由記
~「食べる」を見直したら「内側から美しい生き方」が見えてきたを合言葉に食医膳と発酵食を広く伝えている~
河合 由記 先生のサイトURLhttp://fodfex.com/
薬膳とは
薬膳とは、漢方の考え方に基づいて、季節や体調に合わせて食材を選んで作る料理のこと。中国には、食材にも薬と同じようにからだを治す効果があるという「医食同源(いしょくどうげん)」という考えがあります。近代になって、この考え方に基づく料理を「薬膳」と呼ぶようになりました。
薬膳を実践するには、まず食材の持っている性質や味を知ることが大切です。また、薬膳料理は、即効性のある薬とは違うため、同じ食材を1~3日食べつづける必要があります。ただし、食べ過ぎは、逆にからだに毒となるため、自分の体調をみながら食べるようにしましょう。
春の薬膳
風邪のサインを感じたらナツメとトラジのお茶
急な寒気やだるさ、のどの痛みなど、風邪のサインを感じたら、ナツメとトラジのお茶がおすすめです。生薬としても使われていて、少し苦みのあるトラジ(桔梗の根)に、甘味のあるナツメを加えることで飲みやすくなります。
材料(2杯分)
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- ナツメ
- 1、2個
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- トラジ
- 20g
- のどにいい食材
- 作り方
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- ナツメは1つにつき6~8等分に刻む。
- トラジを手で小さくちぎる。
- ①と②をティーポットに入れ、熱湯を注ぎ6~7分待ってから湯呑に注ぐ。
- 調理&摂取ポイント
- ナツメもトラジも乾燥しているため、刻んだり、ちぎったりすると、お湯を吸いやすくなります。また、成分をしっかり抽出するためにも、お湯は熱湯を注ぐようにしましょう。
のどの痛みを和らげて熱を鎮めるイチゴとミントのドリンク
イチゴのほどよい酸味が唾液の分泌を促してのどを潤し、のどの痛みや空咳を和らげます。さらにのどの腫れや痛みを改善するミントを合わせて、のどからくる熱を冷ましましょう。
材料(2人分)
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- イチゴ
- 100g
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- ミント
- 指先で1つまみ
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- はちみつ
- 少々
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- ソーダ
- 300cc
- のどにいい食材
- 作り方
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- イチゴは洗ってヘタを取り、水気をよくきって粗く刻み、はちみつと混ぜておく。
- ミントを細かく刻んで、すぐに①加えて混ぜ合わせる。
- ②をグラス2個に分け入れ、ソーダをそそいでよく混ぜる。
- 調理&摂取ポイント
- ミントは、酸化しやすいので、刻んだらすぐ混ぜ合わせて早めに摂るようにしましょう。胃腸を活性化して吸収をよくするソーダは、甘みのないものを選び、肺を潤すはちみつで甘さの調節をしましょう。
栄養たっぷりのもちもち団子白玉風“長いも”のゆずあんかけ
風邪の後などで食欲がないときは、栄養価の高い"長いも"の一口団子がおすすめです。気の巡りをよくし、肺や胃腸を丈夫にするといわれる"長いも"は、白玉粉と混ぜることで食べやすいお団子に。たんを切って呼吸をラクにするゆずには、胃腸の働きをよくする効果も期待できます。
材料(2人分)
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- 長いも
- 100g
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- 白玉粉
- 100g
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- ゆず茶(市販)
- 適量
- のどにいい食材
- 作り方
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- 皮をむいた長いもをすり下ろす。
- 白玉粉に①を少しずつ加えてこねる。耳たぶくらいの柔らかさになったら一口大に丸める。
- ②を沸騰したお湯に入れて茹でる。しばらくして、浮き上がってきたら冷水にとる。
- 市販のゆず茶にお好みで水を加えて柔らかく伸ばし、あんを作る。
- ③をお皿に並べ、その上から④をかける。
- 調理&摂取ポイント
- 団子は丸めてから真ん中を潰して茹でると芯まで早く茹で上がります。白玉粉をこねるときは、水を加えずに、すり下ろした長いもを少しずつ加えて、ちょうどよい柔らかさに調整してください。
溜まった脂を溶かしながら余分な水分を排出大根・ワカメ・菊花の三杯酢和え
内臓についた脂は代謝を悪くするので、からだに溜まった脂を溶かす力のある大根で取り除きましょう。さらに、余分な水分を排出するわかめと、体内にこもった熱や炎症を取ってくれる菊花がアレルギーの症状を鎮めます。
材料(2人分)
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- 大根
- 100g
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- わかめ
- 10g
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- 菊花
- 2房(1房10g)
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- 酢(菊をゆでる用)
- 小さじ1
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- 三杯酢(醤油・みりん・酢を同量で合わせる)
- 適宜
- のどにいい食材
- 作り方
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- 大根を細千切りにして、軽く塩でもんで水分が出たら絞る。
- わかめは、さっとゆでて、軽く水気を切る。
- 菊は花びらをばらして、小さじ1の酢を入れたお湯でさっと茹でた後、軽く水気を切る。
- ①②③合わせて、三杯酢で和える。
- 調理&摂取ポイント
- 生の大根より切干大根のほうが、からだに溜まった余分な脂を溶かす効果が高いといわれています。水で戻す時間があるときは、生の大根の代わりに切干大根を使ってみましょう。菊を茹でるときは、酢を入れるときれいな色に茹であがります。
せきやのどがイガイガするときに赤じそとハイビスカスのプルプルジェル
ぜん息、咳止めなどの症状にも用いられる赤じそには、花粉症の原因といわれる糖と脂肪の吸収を抑えるロズマリン酸が含まれています。また、アレルギーでのどに炎症が起きているときは、のどのイガイガを抑えてくれるハイビスカスを加えてみましょう。
材料(2人分)
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- 乾燥赤じそ
- 大さじ3 (ハイビスカスを入れる場合は、赤じそ大さじ2、ハイビスカス大さじ1)
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- 水
- 500cc
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- 粉寒天
- 2g
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- 甜菜糖
- 大さじ1
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- 枸杞の実
- 2、3個(飾る程度)
- のどにいい食材
- 作り方
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- 赤じそ(赤じそとハイビスカス)を分量の水で煮出す。
- 粉寒天を煮溶かし、甜菜糖を加える。甘すぎは水分代謝を悪くするので、甜菜糖はかすかな甘味になる程度に加える。
- 容器に入れ、冷蔵庫で冷やしたら、最後に枸杞の実を飾る。
- 調理&摂取ポイント
- 寒天は、水が沸騰してから入れましょう。寒天を入れたら、そのまま少し火にかけてしっかり溶かして容器に入れてください。寒天の量を少なめにすることで、かたくならずにプルプルとした食感になります。
旬の食材で食べ過ぎによる「せき」を防ぐあさりと大根の炒め煮
春が旬のあさりは、肝機能を高めるとともに、「たん」の絡む「せき」を鎮めます。また、胃腸の機能を整え、肺を潤す大根にも、のどの痛みや「せき」、「たん」を改善する働きがあります。
材料(2人分)
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- あさり
- 1パック(約250g)
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- 大根
- 300g
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- オリーブ油
- 大さじ1
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- しょうが
- 5g
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- 酒
- 大さじ3
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- しょう油
- 大さじ1/2
- のどにいい食材
- 作り方
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- あさりは砂出ししてよく洗う。大根は長さ4cmくらいの短冊切り、しょうがは千切りにする。
- フライパンにオリーブ油を温め、しょうがを炒める。香りがたったら大根を入れて炒める。大根が透き通ってきたら、あさりを入れてさらに数分炒め、酒を加えフライパンに蓋をする。
- あさりの殻が開いたら少し煮込んで、味をみながらしょう油を加える。
- 調理&摂取ポイント
- あさりの砂が気になる人は、先にあさりを蒸して、殻を取り除き、身と蒸し汁に分けてから、蒸し汁を茶こしなどでこして、大根を炒めるときに加えるようにしましょう。
のどの調子を整え、せきを抑えるアスパラガスとたけのこの鶏肉スープ
のどの渇きを和らげるアスパラガスと「たん」を取りのぞくタケノコを合わせて、のどの調子を整えましょう。鶏肉は、体の気を養い、「せき」を鎮めます。
材料(2人分)
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- グリーンアスパラガス
- 2本
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- タケノコ(※茹でたけのこ約80g)
- 小さめ1/2本
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- 鶏むね肉
- 1/2枚(100g)
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- 干し椎茸
- 中2枚
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- 無添加鶏ガラスープ素
- 小さじ1/2
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- 酒
- 大さじ1
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- 塩
- 小さじ1/4
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- 醤油
- 数滴
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- しょうがのおろし汁
- 数滴
- のどにいい食材
- 作り方
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- 鶏むね肉は流水で洗い水気をふきとり、2cm大のそぎ切りにして酒大さじ1と塩少々(ともに分量外)をふりよく混ぜ合わせておく。
- 干し椎茸を100ccの水(分量外)に入れ戻しておく。
- タケノコと干し椎茸は一口大の薄切り、アスパラガスは根もとの皮をピーラーでむいてから、斜めに薄く切る。
- 鍋に水を300cc(分量外)入れて、さらに②を茶こしでこして加える。火にかけて沸騰したら、酒・タケノコ・干し椎茸を加えて約5分煮てから、さらに鶏むね肉・アスパラガラスを加えて火が通るまで煮る。
- アスパラガスの色が鮮やかになったら塩で味を整え、風味つけにしょう油を数滴たらして火を止め、最後にしょうがのしぼり汁を加える。
- 調理&摂取ポイント
- 1日3回に分けて、1~3日食べるようにしましょう。ただし、食べ過ぎはよくないので注意しましょう。たけのこと鶏肉に含まれるチロシンは、脳内物質セロトニンの原料です。セロトニンは心を穏やかにして、落ち込んだ気分を和らげてくれるため、ストレスや疲れを感じたときにもおすすめです。