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のど・はなケアコラム 病は空気(気)から

第1回 専門医が語る!黄砂が運ぶ怖いモノ

東田有智先生 近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科教授

油断できない黄砂の季節

黄砂が飛来する時期は毎年二月から五月にかけて、ちょうど今がピークですが、この時期は喘息など呼吸器系の疾患が悪化する患者さんが増えます。例えば小児喘息の患者さんが一月から新しい治療法を受け、症状が改善してきたと思ったら、五月に突然悪化した。その原因を調べたら校庭でサッカーをして黄砂を大量に吸ったためでした。

喘息で苦しんできた少年が、症状が楽になったので、春の陽気に誘われサッカーをしてしまったのは無理からぬこと。統計的にも黄砂が鼻炎や喘息の症状を悪化させることが分かっています。黄砂の季節は患者さんにとっても、私たち医師にとっても油断できない季節なのです。

黄砂は汚染物質・微生物を運ぶ箱舟

黄砂は汚染物質・微生物を運ぶ箱舟

黄砂は中国西北の砂漠地帯で発生し、偏西風に乗り日本に飛来します。特に今年は中国の工場や車の排気ガスから発生するPM2・5が大量に発生し、それが黄砂といっしょに日本へ飛来しました。黄砂の成分はアスベストと同じ二酸化ケイ素で、人が吸うとアレルギーを悪化させることが分っています。

しかも最近の研究では黄砂には排気ガスの成分であるイオウ酸化物や窒素酸化物などが付着し、さらには真菌などアレルゲンになりそうな様々の微生物や死骸が付着していたという報告もあります。黄砂はただの砂ではなく、排気ガスや微生物を途中でピックアップして運んでくる空の箱舟だったのです。

鼻や喉に違和感があるときは早めの対策を

健康な人は黄砂を過度に心配する必要はありません。息が通る道を気道といいますが、健康な人の気道は黄砂が侵入しても、粘膜で捕え、外に除去する働きがあります。しかし気道粘膜が傷つくと、これらの働きが弱まります。つまり喉がイガイガする、「たん」がからむ、「せき」が出るという状態です。

そうなると黄砂に付着した真菌やアレルゲンが侵入し、抗原抗体反応が起こり、症状が悪化する危険性が高くなります。 ですから喉に違和感があるときや、「たん」がからむ「せき」が出たときは、うがいといっしょに、「たん」を出しやすくして、気道粘膜を修復するカルボシステインなどが配合された薬を服用し、早めに気道を正常な状態に戻すことをお勧めします。